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王 敏

前半は中国で熱狂的ともいえるほどの人気を博する日本製品の実体が紹介されている。
「日本城」というエリアがあるというような話は聞いていたけど、ここまですざまじいとは思わなかった。
日本人気は工業製品に限らず、ファッションから食べ物、アニメ、音楽、店舗携帯に至るまで、ありとあらゆるものにわたっている。
戦後の高度成長期に日本がアメリカに対して抱いていた「反米」と「憧れ」の感情に近いとのかもしれない。
ただ、ここまではよくある話の延長ともいえるところ。
著者の主張は後半にある両国の文化的な背景の考察にある。
まずは、日本の倫理の根底にあるのは武士道で、中国の場合は儒教、道教にあるという話から始まる。
武士道の根底も「仁」「義」「礼」「智」「信」の五徳にあるこのはよく知られた話だが、それは日常に浸透したものではなく、教科書的なレベルにとどまると指摘する。
戦後に「徳を持って怨に報いた」中国の姿勢に対し、日本の反省はあまりに浅く見えるらしい。
さらに、最近よく反日教育の問題が持ち出されるが、これは中国共産党成立時期の関係もあって近現代史に重みが置かれているという事実。
人民史観としては当然「反封建・反植民地・反帝国主義」がその中心におかれ、結果日本との関係に比重が置かれることになる。
日本の教育のほとんどが近代史に入る前に終わってしまっているのとは対照的だと言う。
根幹には、歴史を重んじる中国と過去を軽視する日本人という構造もあるらしい。
2000~3000万人の命を失った中国人の感情は、300万人の戦死者を出した日本の比ではないとも。
単なる数の問題としてではなく、戦争に対する感情に大きな隔たりがあるようだ。
迫害に苦しむ中国民衆を描いた「太陽の塔」の放映以来、一度は放棄した1800億ドルの賠償請求を求める声もあるのだとか。
田中角栄による国交正常化時や天皇の訪中時のお詫びなどもあったが、10万人を超える慰安婦問題、731部隊による生物化学兵器問題、残留孤児問題など、日本政府の後手に回った姿勢は、
戦前と不連続な教育に対しての評価もあるものの不信感はぬぐえないという。
さらに、最近の確執の根底にあるのは、やはり教科書問題と靖国神社公式参拝問題。
個人的にはいずれも見直しをすべきなのではと思っているところ。
アメリカに負けて、ソ連に負けて、中国にまで負けたのでは日本人の存在基盤さえ危なくなるという見方もあるのだろうけど、これについてはドイツの戦後処理を見習えと言いたい。
反省すべきときには徹底して反省すべきなのではないだろうか。

著者の指摘するとおり、対立を克服するには、その文化と価値観の多様性を互いに認めあう信頼と謙虚さが大切だと思う。
互いを知らずして両者の溝が埋まることはないだろう。
少なくとも日本はもっと中国を知るべきなのではと改めて感じた。
読む前からこの本のタイトルにちょっと抵抗を感じていたのだけれど、読み終わって改めてその思いを強くした。
内容に反した、日本人の驕りを煽るような表現はどうかと思う。
ただ、多くの人が最近の中国との関係を考える上でよいきっかけを得られる本だと思います。
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2005.05.29 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |












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