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トニ・モリスン

著者は、アメリカ黒人女性として始めてノーベル賞に輝いた人だそうです。

物語は、西海岸で黒人向けのリゾートとしてもうけられた「コージーズ・ホテル・アンド・リゾート」で繰り広げられる人間模様を描いたものです。
主役は、ヒードとクリスティンという二人の女性。
幼くして偶然出会った二人ですが、クリスティンのほうはホテルのオーナーであるビル・コージーの孫で、ヒードは偶然にもそのコージーに11歳で妻として迎えられた女性。
裕福だった孫娘と貧しい生活から救い出された花嫁の関係がなんとも複雑。
単なる遺産相続の話にとどまらず、人間そのものを取り上げたような奥深いストーリーに仕立てられています。

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自分の性も知らないうちに、色と無色のちがいもわからず、親戚と他人の区別もつかないうちに、お互いを見出したとしたら、彼らはそれなしでは生きていられない屈辱と反抗のないまぜになったものを見出したことになる。ヒードとクリスティンは、そんな友達を見つけたのだ。


愛憎という言葉がありますが、幼くして芽生えた愛が他人の手によって憎しみへと変えられていく様を描いたような小説です。
愛というよりそれによって育まれた憎悪のほうがタイトルにふさわしいかもしれません。

愛はヒードとクリスティンだけにとどまらず、ビル・コージーのうわべの人間性やクリスティンの母親メイの異常さ、現代っ子ジュニアとローメンの関係などあらゆる場面の下地になっています。
ただ、かなり奥のほうにうまく置かれているので、あまり愛を意識することなく、深層のところでわずかに感じるような読後感です。
タイトルがラヴに決まったあと、著者自らが文中の愛という言葉をすべて消したといいますが、さもありなんと思います。

それにしても、作風か翻訳だか理由はわかりませんが、とにかく読み進むのが大変な本です。
細部に気を配ってないと時代も場所も登場人物もすぐにわからなくなってしまいます。
読力という言葉があるとしたら、それを試すのにうってつけな1冊かも(笑
500ページ以上の本を読んだ後のような充実感と疲労感を感じました。
それでも読後すぐにマーケットプレイスで買ってしまいました。この作家と作品に敬意を表して、いつかもう一度読み返してみたいと思います。
いつまでも印象深く残り続けそうな本です。
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2005.06.04 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |












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