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陳 桂棣、春桃

今日は第10期全国人民大会が開催されている。国防予算は前年度実績比14.7%増え約4兆1000億円。18年連続の2ケタ増。そんな最中で読んだ『中国農民調査』はあまりにも乖離した別世界。
この本は、安寧省の農民の実情を2000年から3年にわたった取材を元にまとめたノンフィクション。
刊行二ヵ月で発禁処分、2004年の世界中のルポルタージュ文学の中から最優秀作(ユリシーズ賞)を取ったなどの話題性もさることながら、農民を解放するはずの改革が貧農からの搾取構造を温存する仕組みになっていたという取材内容に驚いた。

1970年代末、改革開放政策として農村から始まった「大包干(ダーバオガン)」により、小崗村を中国農村改革第一号村とした「各戸別生産請負制」が始まった。しかし、土地を国の持ち物とする考えは変わらず農村部の改善は見られず、1993年の「丁作明(ていさくめい)リンチ事件」、1997年の「大高村事件」などに代表される負担軽減の直訴に対する弾圧が最近まで公然と続いていたという。負担を軽減する指令が中央から出されても、地方ではそれを掻い潜る徴収項目をつくったり、別指導者による都合のよい判断が出されりもした。中央から発せられた支持は原則や精神であり拘束性をもたないものだったという。
問題の本質は徴収コストを下げるために人民公社を廃止し、独立した財政と徴税の権利をもつ地方の行政単位である郷や鎮をつくったことにあったようだ。「ざんばら髪はつかめない。弁髪にすればつかみやすい」と毛沢東が言ったとように、農業従事者が都市に流れないようにし、農業を集団化し徴税する仕組みが農民たちの開放を押しとめた。14億の全人口のうち9億が農業従事者、うち5億が労働年齢として4億が農村における過剰労働力となる。中央-省-市-県-郷という世界でもめずらしい多段階の行政の組織階層、40人の農民で1人の地方役員を支えるという権力構造化した党体制など農民へのしわ寄せは想像を絶するものです。「世に法なきは患わぬ、その法の行われぬを患う」という言葉通り。
資金源として農業を重視した小平の意に反し農業は弱体化し続け、40年にわたった「都市と農村の分離、一国二政策」は都市と国家レベルの工業化促進し、農民をその犠牲としてしまった。封建時代の領主による法外な年貢取立てを思い起こさせるような話しです。農民の負担軽減の訴えは今も続くといいます。それはそのまま都市部と農村部の貧富に差に現れているようです。教育費のようなものであっても納税する人口比と配分される比率が都市部と農村部で逆転することもままあるというのですから驚きです。
中国は貧しいままなのか豊かになりはじめているのかと疑問に感じることが多かったのですが、この本を読むとそれを説明する貧富の二重構造を垣間見ることができます。中央の思惑とは別に、郷や鎮で行われていた違法な徴税は眼に余るもの。中国の歴史に感じる、国や政府や党を信じず、手段を選ぶことなく自分の生活を守る生き方をここでも感じる。現政権に中国人民たちはどんな信頼を寄せているのだろうか。
「中国税費改革の第一人者」といわれる何開蔭(かかいいん)に始まり、朱鎔基などによって薦められてきた「農村税費改革」が中国の農民たちに平等な生活をもたらすのはいつのことなのだろう。

[本▼▼▼▼▽]
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2006.03.05 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |












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