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町田 徹

この本を読んで意外だったことがいくつもありました。郵政が外資にさらされて弱体化してしまうという勘違いをしていたこと。最初の最後の日本郵政公社総裁となった生田正治(もと商船三井)が率いる郵政公社自体も全特や全逓、全郵便議員などの反対派と戦い民営化を積極的に進めていたということ。さらに小泉潤一郎の祖父又次郎が横須賀に特定郵便局を取り入れた郵政族議員のはしりで、それを基盤として2世の純也までが国会になっていたということ。特定郵便局が選挙時に自民党の集票マシーンとして絶大な機能を発揮していたということ。
これだけでも、郵政をとりまく認識がまったく違っていたことに愕然としました。
郵政の攻勢の一番端的な例が、ヤマトの郵便参入阻止として、全国10万ポストの設置を要求する一方で、自らはローソンに設置した簡易箱をポストとし主張した総務省・郵便事業庁の奇策。am/pmなどと「ゆうパック」取り扱いに契約し、取り扱い量で先行していたヤマトを一気に抜き去ります。これに対し、信書便法により民営化を薦めようとした小泉政権は、ヤマトの撤退を裏切り行為と見たというから逆恨みもいいところ。金融で競合する可能性のある、損保、証券業界なども郵便局の販売チャネルに目がくらむあまり、反対勢力とはなるどころか郵政の太鼓もちになり果てている。
成立した民営化六法では、10年以内に政府所有の日本郵政㈱の株式の3分の2を売却し民営化を目指すが、子会社株を先に売却していないと本体の売却しにくくなる。子会社売却権限を持つのが持ち株会社となる日本郵政で、それを遅らせることによる民営化の時間稼ぎは可能。NTTの20年を考えるとさらに長期の移行期間さえも確保できるかもしれない。実態としても、未来永劫に日本政府の庇護下にある「特殊会社」になるにすぎない。それが設立とともに日本最大の民営企業となるわけだから、市場原理など関係ない特権会社となることは明白。
持ち株会社の日本郵政は、「郵便事業㈱」「郵便保険㈱」「窓口ネットワーク㈱」「郵便貯金銀行」の4社と子会社としてもつが、前の2社は日本郵政の100%子会社となり、郵便事業を私的独占することを認められている。郵便料金も認可のいらない届出制に緩和されることになった。さらに、日本郵政は、土地、建物などの資産や人的な資産を自由に使えるようにもなる。それもJRやNTTのような会社分割による競争原理を導入しないというのだから恐れ入る。著者は郵便事業の独占、値上げの自由、郵貯・簡保の市場支配力の温存による国民圧迫、ライバル排除の構図と危惧する。
もともとの問題の根源にあった特定郵便局という名前の世襲性の制度は、「郵便の父」といわれる前島密により生み出されたもの。戊辰戦争の戦費返済に窮していた明治政府が苦肉の策として地方の名士に土地、建物、労役などに協力を求める見返りとして、「国家官吏」という世襲制の権利を与えたことにはじまる。戦後GHQにより法的根拠を失っていた特定郵便局に対し、田中角栄が全逓の全廃要請をもとに調査した結果、条件をつけた上で公式に存続を認めることとなった。結果として、全国特定郵便局長会(全特)の力をもって郵政に大蔵にも伍する力を与えることになった。小泉総理は父の死に際し、学生でありながら後援会や派閥長の福田赳夫の了解も得ず立候補を表明するが、地元の特定郵便局のネットワークから造反が出て別の人物を支援した。これが、小泉純一郎の特怨念となっていた。当選後も大蔵派として政治活動をしていた小泉総理にとって郵政は天敵でありつづける。宮沢喜一の大蔵と郵政の調整を期待され郵政大臣になってもその過激な姿勢は変わらず、溝は深まるばかりとなった。

本書には、橋本政権に端を発した郵便の民間開放の議論の推移や、郵政のドンと言われた田中角栄、金丸信、小沢一郎、小渕恵三、野中広務、綿貫民輔の系譜との関係などなど、ここに書き入れないほどの話が時系列にまとめられていてとてもよくわかりました。
小泉政権において、2004年の参議院選惨敗後、政治家としての活路と政権の回復を郵政民営化に特化し、それを目的ではなく手段化したきらいがあることも否めません。その結果として性急に決められた張りぼてのような関連6法案の残した禍根は大きいとの感を強くしました。
今後の郵政においてもっとも問題になる可能性があるのが、穴だらけの郵政民営化が擬似民営により国営の力をさらに強化し、小泉総理の意思とは関係なく、小泉(森)派閥の一人勝ちを助長する集票マシーンになる可能性が出ていること。それも民営化による効率のもたらす国民への還元すらできない一人勝ち企業の温存拡大を伴うものです。これは特殊郵便局の廃止を目指しながら、結果として特殊郵便局の存続を決定付けてしまった田中総理のケースに酷似しているという指摘されています。
識者の見解よりも小泉総理の「改革を止めるな」というイメージを支持した国民は、今後の”改革”と言われているものの推移を見ていく責任があるということになりそうです。すでに現状の郵政改革と言われる郵政強化を止められる政治家がいなくなり、小泉総理も中途半端な民営化法案をつくり総理の座を去ろうとしています。2007年10月の日本郵政発足前に、国民に求められるものは多い気がします。
この後、最近気になるポピュリズム関連の本を読んでみたいと思っています。善悪二元論により扇動される愚衆にならないためにも、これから大切なことだと感じるこのごろです。

[本▼▼▼▼▽]

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2005.12.04 | 本  | トラックバック(1) | コメント(0) |












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「日本郵政」
「小泉政権vs郵政族」という視点からは政権の華々しい勝利に映らなくもない郵政民営

2005.12.18 00:38 | COCO2のバスタイム読書

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