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村上 春樹

村上春樹は、学生時代にデビュー作を読んだ作家なので、同時代を生きてきたといえるのかもしれません。かといって、特別の思い入れをもって読み続けたり、聞き続けたりしてきたわけではなくて、ふと気がつくと横にあったという感じです。ときどき手にして、”そうかぁ”と脈絡なく思いながら時間をすごす。なにが”そうかぁ”なのかは、意識して考えるようなものでもない。
今回の新作もそんなようなことをつらつら思いながら読みました。登場人物の生活を想像させる物たち、ほどよい間をとった会話。時間の観念さえも排除してしまい、重くも軽くもないものであるかのように振舞う日常。村上春樹の書く今回の小説は心に近すぎて、何かを語られることを拒むようでもあります。たぶん、多くの人がそう思うのだと思います。自分のための小説と思う読者をたくさん持つことのできるところが彼のすぐれているところなのかもしれません。
人物描写がとても丁寧で、会話やしぐさを通じて心の動きが手にとるように感じられる。普通のキャラクターがしっかりそれぞれの個性を持ち、過剰も不足も感じることない空間を作り出す。もう、ストリーなんかどうでもよくなってくる。たとえ猿が何を言おうが。ただ、流れる時間に身を任せているだけのよう。これが率直に感じたところ。
今回は、奇譚という言葉がタイトルに使われているけど、内容は奇譚から自らの安息を与えられているようなお話。
現実との葛藤や不安、喪失といったものを奇譚が埋め合わせ、心のつじつま合わせとなってくれているようです。

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2005.11.21 | 本  | トラックバック(1) | コメント(2) |

こんんばんわ。
村上春樹さんの作品は、たしかに自分のための小説と思わせるところがあります。
特に若い頃は、そう思いこんでいたような・・。
心地よく読み流せるけれど、読み終わった後に感じるかすかな喪失感とか、理解とか共感をやんわり拒絶される感じに、どうしても惹かれてしまいます。

2005.11.23 22:08 URL | june #k9MHGdfk [ 編集 ]

juneさん、こんにちは。
デビュー当時から心地よく読み流せる作風ですね。
でも、中身がすごいってことでしょうか。
ほんとうにいいものは軽く感じるのだと思います。

2005.11.24 21:57 URL | uota #ogz9v/Dw [ 編集 ]












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