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W・G・ゼーバルト (著), 鈴木 仁子 (翻訳)

インフルエンザに関して、漠然と知っている情報を整理するためにとても有益な本でした。ただ、この本をもって十分な予防ができるかというとそういうものではなく、インフルエンザの系譜や特徴を知るにとどまります。わけもわからない恐怖感から具体的に知った上での恐怖感に変わるというところでしょうか。
以下の記述には多少ネタバレ的なところもありますので、そのつもりでお読みくださいね。

著者はインフルエンザウイルスの世界的権威であるドクター・ウェブスターに師事し、インフルエンザウイルスの合成方法としてリバース・ジェネティックを開発した方です。開発時にCIAや政府関係者も接触してきたという記述もあることから、どの程度の権威を持つ方かはおわかりいただけるかもしれません。
インフルエンザは人の上部気道(喉)で増殖しますが、鳥類に比べて体温が低くなる上部気道では鳥インフルエンザは一般に繁殖しにくいそうです。鳥インフルエンザとヒトインフルエンザはそもそも違うもので、ブタのみが両方に感染し、どちらにも感染できるハイブリッドをつくるとされていましたが、水禽類のウィルスがブタの体内で増殖するうちにハイブリッド化するとともに人の体内で増殖しやすい形に変わることがわかってきたのだそうです。最近は直接人に感染する可能性も否めなくなってきています。
アジア風邪とホンコン風邪が鳥インフルエンザとヒトインフルエンザのハイブリッド(混合)だったということが70年代にわかったころからインフルエンザ解明のための研究が活発化したのだそうです。
それほど昔から調査や研究がなされていたわけではなかったようですね。
インフルエンザをはじめて記録したのはギリシャのヒポクラテスで、それ以降何度も流行を繰り返し、20世紀だけでも、スペイン風邪H1N1(1918-19)アジア風邪H2N2(1957)とホンコン風邪H3N2(1968)と3度のパンデミック(世界的流行)を起こしました。日本ではそれぞれ、38万人、7700人、2000人の犠牲者を出したといいます。最近話題になっているのはH5N1亜種というウイルス。高病原性といわれるもので強毒性のものです。カモなどの野生の鳥類やトラを含む猫科動物、人などの殺傷も報告されているものです。昨年、山口、大分、京都で発見されたものはいずれもこのH5N1亜種。
すべての鳥インフルエンザは人に感染するものなのかという点は依然不明確ではあるものの、H5N1亜種(アジア)以外にも、H7N7(オランダ)、H9N2(香港、中国)という亜種の3種が人に感染したという記録があります。H5N1亜種が従来の鳥インフルエンザと違うのは野鳥に感染しているという点だそうです。渡り鳥が大陸からウイルスを運ぶ危険性が高いということですね。
ウイルスにはDNA系とRNA系があり、インフルエンザは後者のオルソミクソウイルス科に属しています。さらにインフルエンザはA、B、C型に別れ、人や家禽類に強い病原性を持つのはA型です。ヘマグルチニン(HA)、ノイラミニターゼ(NA)の2種類の糖たんぱく質がスパイク状に突き出ていて、HAは1から16、NAは1~9の亜種が存在するのだそうです。このRNAウイルスが自己の遺伝子を複製するときに間違いを起こしやすく新種を生みやすい、その上伝播力が強いこともあいまって長きにわたって人を苦しめるウイルスとして恐れられることになっているのだとか。新しいウイルスは古いウイルスを駆逐するという関係にあるために常に新しいワクチンが求められることにもなります。

細菌とウイルスの違いは下記のようなところ、
細菌
1000分の1mm(光学顕微鏡) 自己増殖
ウイルス
10000分の1mm(電子顕微鏡) 動物の細胞内増殖
単独の活動を抑制するより動物の細胞に副作用を与える薬のほうがつくるのがむずかしいというわけです。

抗ウイルス薬としてスイスのロシュ社が開発したタミフルは中外製薬が輸入し、日本が70%を消費しているのだそうです。これは運用体制が整っていることが理由だとか。
ただ、タミフルには耐性ウイルスを生み出す可能性があるので、それにも効くリレンザ(グラクソ・スミスクライン)も用意したほうがいいとの指摘をされています。さらに、危険度の高いBSL4レベルのウイルスを扱う実験室が国内では稼働してないことに対して、今後毒性の高いウイルスが生れた場合にリスクを残すということにも言及されています。
近年日本で流行しているインフルエンザはH3N2、H1N1のA型とB型。やや弱いH1N1が1年流行ると、強いH3N2が2~3年続き、ときおりB型が加わるという傾向だそうです。
世界的に新しいインフルエンザウイルスが生れるのではという懸念が現実のものとならないことを祈ることにしましょう。

[本▼▼▼▽▽大盛]

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2005.11.20 | 本  | トラックバック(1) | コメント(0) |












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インフルエンザ予防接種:やらないよりはましか
非常に有益なレビューと思いましたので紹介させていただきました。

2005.11.20 19:48 | 小春日和の陽射しの中で

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