上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--.--.-- | スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-) |

amazonへ

沢木 耕太郎

登山は若いころに少しかじりましたが、正直、強く関心をもつ領域ではありません。ただ、登る人の気持ちがわかるぐらいに山のことを知っている程度です。そんな私なので、山野井夫婦のことはほとんど知らないでこの本を読みました。どちらかというと沢木耕太郎の新作ということで手にした次第です。
物語は、山野井夫妻の生い立ちや出会いなどを交えながら、世界第15位の高さを誇る中国・ネパール国境にあるギャチュカンの北壁登攀が事実に基づいて書かれています。ただ、この15位の山は、8000メートルにわずかに届かないため登山家からはあまり関心をもたれていないのだそうです。
話しは詳細に記録を追うように書かれているのですが、読み進むうちに山野井氏の山への思いや奥さんの妙子さんへの愛情を自分ごとのことのように感じ始めます。そして、次第にお二人の自然と人に向けられた純粋な気持ちに引き込まれて行きます。
なんと美しく透明な心を持ったご夫妻なのでしょう。肢体がどうなろうがまったく変わらない山への思い、妙子さんへの思い。そこには、お互いを尊敬し、補いながらひとつになっていく世界がありました。それは、男と女それぞれの理想のあり方とさえ思えるほど。
ことばでは言い表しがたい美しさに包まれる文学です。山の話というよりも、同じものを愛し、互いに信頼し信じあえることのすばらしさを感じられる話しですね。これほどの関係が持てるならば、互いの命さえ絶対ではないという気持ちすら納得させられてしまいます。好きなもの、好きな人を超えるものは何もないということでしょうか。
”極限”ということばは、安直に使うものではないと思いますが、二人の記録は、その言葉さえも超えているようにさえ思います。死を平時のことのようにとらえ、一瞬一瞬の変化を淡々と受け止めて行く姿には驚きと感動を覚えました。
この小説は、凡人の常識を超えた状況を、日常をとらえるがごとくストイックに見つめられていて、華美な装飾の類はいっさい排除されています。それは沢木幸太郎の筆致なのか山野井夫妻の行き方なのか見極めかねるところもありますが、両者の組み合わせがあってこそ実現した世界ということなのだと思います。
静かな残る余韻がとても心地よい作品でした。

[本▼▼▼▼▽汁だく]

<br />人気blogランキング
スポンサーサイト

2005.11.11 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |












管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://slowfish.blog9.fc2.com/tb.php/640-83fc1f5d

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。