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有田 芳生

テレサ・テンと言えば、日本では演歌歌手ですが、東南アジアではジャンルを超えた歌姫の麗君(テン・リー・チュン)として知られる。
一方で、中国の体制を批判をし、祖国の統一を願い続けた人でもあります。
この本に書かれているテレサ・テンは、華やかさも貧しさももなく、そのいずれでもない等身大の姿です。
パリやイギリス、香港での生活や富豪との恋愛、赤いベンツや高級料理に彩られた生活も決っして浮ついたものではなく、ただ歌が好きで中国の人々を愛したテレサ・テンの本来の姿が丹念に取材されています。
彼女の亡くなったときに暗殺説やスパイ疑惑などが取りざたされましたが、この本を読んだ限りにおいては、それらが根も葉もない作り事だったように感じます。
歌の上手な少女が、普通の幸せを願ったにすぎなかったのだという事実に涙を誘われます。
テレサ・テンは、祖国の動乱と開放に自らの命を捧げることを宿命として生まれた歌姫だったのではという思いを強くしました。

この本の面白さは、中国の民主化への道と台湾との政治攻防、そしてそれに必然的にかかわっていくテレサ・テンの人生です。
テレサ・テンの人生でありながら、中国の歴史を映した鏡のようにさえ見えます。
80年代の天安門事件に象徴される中国の混迷の様子がとてもよくわかります。
毛沢東の否定による華国鋒主席の引退、それを受けた胡耀邦が総書記となり、その後の保守派と改革派の対立へとつながっていきます。
文化大革命を清算し、社会主義へと移行する中国の姿が民間人の目から
眺められるようです。
これは期待通りの内容でした。
レンタルCDを聞きながら読了。
最高傑作といわれる『淡淡幽情』もぜひ一度聞いてみたいと思います。

1953年    軍人の子として台湾に生まれる
1967年 9月 宇宙レコードからデビュー
1970年    テレサ・テンを名乗る
1974年    『今日かしら明日かしら』で日本デビュー
1976年 9月 毛沢東が死去し文化大革命が終焉
1977年    小平が3度目の復活を果たし、改革開放政策へ
1979年 1月 アメリカと中国が国交を回復
1979年    台湾国防部情報局の大陸向け放送「テレサ・テンタイム」が人気番組に
1979年    偽造パスポート事件で収監 意図せぬアメリカ生活
1980年    『何日君再来』が中国大陸でヒット
1980年    台湾の政治的意図から帰国を果たす
1982年    シンガポール財閥の御曹司ボー・クオックとの婚約が破綻
1983年 2月 代表作となる『淡淡幽情』発売
1983年 2月 ラスベガスのシーザースパレスにてワンマンショー
1983年10月 小平による「精神汚染」批判キャンペーン
1983年12月 台湾コロシアムで「15周年記念コンサート」
1984年    『つぐない』で日本再デビューし大ヒット
1985年 2月 『中国青年報』に『北京青年報』記者関鍵による1面記事が掲載
1986年 2月 『時の流れに身をまかせ』発売し200万枚のヒットとなる
1989年 5月 香港ハッピーヴァレー競技場で天安門学生支援コンサートに急遽出演
1989年 6月 天安門事件で改革派の学生を人民解放軍が虐殺
1989年10月 失意の中、パリへ居所を移す
1992年 6月 パリのトロカデロ広場にて天安門事件3周年集会に参加
1994年 6月 高尾で行われた軍のイベントに出演
1995年    恋人ステファンと休暇滞在中のチェンマイで気管支喘息の発作で逝去

[本▼▼▼▽▽大盛]

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2005.10.29 | 本  | トラックバック(1) | コメント(2) |

こんにちは。junikeです。
テレサの歌は日本のものしか知りませんが、好きです。
でもその良さに気づいたのは亡くなった後でした。
テレサを通してこの本で中国の歴史を学ぶのもいいなと思いました。

2005.10.30 08:13 URL | junike #- [ 編集 ]

そうですね、だれかの生涯を通じて背景にある歴史を見ると、思いのほか整理がしやすいことってありますね。
テレサの場合も時間を重ねて中国の現代史を知ることができていいですよ。
とくに文化大革命終焉から現代に至る中国はわかりにくいところがあるのですが、この本を読んでかなり整理できました。

2005.10.30 12:52 URL | uota #ogz9v/Dw [ 編集 ]












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