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ストーリー全体が本題を包み込むように書かれているので、抽象画を見ているような読後感。
崩壊する可能性をぎりぎりで食い止め、最高の構造を作り出そうとするねじれた高層ビルがこの本のテーマそのもの。
都会の今がこの建設途上のビルに凝縮されているようで背筋が寒くなった。
そうだ、これは大都会にそびえる現代のバベル塔なのだ。
旧約聖書創世記第11章に描かれているバベル(混乱)の塔は人間の傲慢を神が裁くという話だけれど、この本に登場する高層ビル「O-miya スパイラル」は道を見失った人間の行く先のない喪失感を描いているようです。
ちょうど今日、重松清の出たNHKの番組でバブル崩壊前後の生活を総括していましたが、この小説がバブル期に犯した過ちと重なって見えました。
物語を形作っている大宮、高層ビル、浜崎あゆみ...すべてがバブル崩壊前後の今の都会を象徴的に表しているよう。
救いを見出しにくい現実をつきつけられているような、重くのしかかってくるような作品です。
金属製の貞操帯をつける鉄筋工の隼人と「O‐miya  スパイラル」の設計者犬飼の二人は都会に暮らす人間の姿そのもの。
できれば見ないでいたい現実の世界かもしれません。
それにしても、この吉田修一という人はいったいどこまでいくのだろう。

ブリューゲルのバベルノ塔
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2004.08.17 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |












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