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星野 智幸

時代は日露戦争から100年というから、ほぼ現代と重なる。
ただ、出てくる国名はアナメリカ、露連というような具合で、現実にきわめて近いながらもあくまで架空の世界です。
現実世界の社会をデフォルメしたような設定と考えるのがわかりやすいのかもしれません。

NGO「ヲロシア・コネクション」を主催する好美がいきなり死んだところに物語りは始まります。
自殺か他殺かが判然としないまま、そこに至る経緯が時間を遡るように描かれていきます。
戦後の社会批判と家族問題が絡み合うような話が次から次へと書かれていきます。
国と国の関係が滑稽なら、好美の家族も家族で、左翼と右翼にリベラルが対峙するという摩訶不思議な家族関係。
それは、表層的な見せかけの事象で、さも何かがあるかのように振舞われる世界。
まったく空疎な時間だけが流れる現実。
離婚を前にして父親の憲三と母親の貴子が口げんかをするところなどは、虚構の崩壊するリアルな描写に絶句。
よくもまあ、ここまで書けると感心してしまいました。
小説自体は、戦後の日本の思想や政治のすべてを素材とし、まがい物の世界にうまく料理されていて痛快でさえあります。
少し前に読んだ、「ベルカ...」に近い”置き換え”を感じさせるところもあります。
政治や社会問題に関心のある人が読めば、ニヤニヤしてしまうところが山ほどあります。
ここまでシニカルにならなくてもと思うこともしばしばですが、どこまでいっても人間味が消え去らないところが著者の魅力でしょうか。
本書は近年のナショナリズムを風刺したもののようですが、こういう小説を書く星野智幸という人物に興味津々です。
深い思慮をもちながら、皮肉っぽく笑い飛ばしてしまうような立ち位置は棄てがたい魅力ですね。
前作の『アルカロイド・ラヴァーズ』も著者ならではの独特の設定に驚きましたが、この人の風刺精神とそれを独自のアイデアで小説にしてしまう力には脱帽してしまいます。
すでに、文藝賞や三島由紀夫賞や野間文芸新人賞も受賞しているのですからただ者ではないというのはわかってるのですが、それでもこの著者ならではの創造力には脱帽です。
次作にも大いに期待してしまいます。

星野智幸オフィシャルページ

[本▼▼▼▽▽大盛]
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2005.09.27 | 本  | トラックバック(1) | コメント(0) |












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ナショナリズムという妄想に代わりえる妄想を求めて
By 得丸久文(ShinRai)ナショナリズムも、つきつめれば浪漫主義的妄想のひとつに過ぎない。今、ナショナリズムという妄想に代わりえる妄想が必要である*** 地球浪漫的読書案内 小熊英二著「<民主>と<愛国>」(2002年、新曜社, 税別6300円) **** ナショナ

2005.09.29 02:15 | 色・色

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