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今村 弘子

この本を読むと、北朝鮮がいかに誤った経済政策を繰り返してきたかが手に取るようにわかります。
科学的ではない、主体(チュチェ)思想などに代表される精神論一辺倒の政策にはおのずと限りがあったということですね。
とても読みやすい文章になっているので、朝鮮戦争後の北朝鮮経済を知りたい人にはうってつけの1冊だと思います。
社会主義国でありながら計画経済が機能せず、ソ連などの経済支援のみを頼りとし、一方でGNPNO20~30%を軍事支出に当てる異常さ。
計画経済と第二次経済委員会(軍需関連産業部門が牛耳る組織)と闇市からなる「三元化経済」の矛盾。
資材のうちの数パーセントから数パーセントを金日正が自由に使える「主席ファンド」によるいびつな経済体制。
中国、ベトナムと異なり前政権を肯定したまま農業政策などを優先せず「価格政策」を優先した過ち。
あげればきりがないほどの無策ぶりです。


45年に南北朝鮮を統一を約束するモスクワ協定が締結されるが、米ソ対立の激化から実行されず。
46年には日本の所有していた重工業関連を中心とした施設が国有化され経済も一時回復基調となる。
50年に始まった南北統一を目指した南進にはじまる朝鮮戦争が勃発
工場施設が破壊され、戦前の64%の工業生産に陥る。南北離散家族も1000万人に達する。
戦費を含めたソ連からの債務に加え、経済復興の債務が積み増され、買い入れ先は中国にも及ぶことに。
その後の軍事的緊張はさらなる軍備増強ための出費を求められる。
54年から経済復興三ヵ年計画が始まるが、重工業を優先するもので、工業投資は80%を占め、生活関連は教条主義、修正主義として切り捨てられる。
貧農の急増に対し戦後10年目までに3年という短期で農業集団化を実行し、工業の国有化とともに社会主義の体制を確立。
55年には金日成により「思想事業で教条主義と修正主義を排除し、主体を確立することについて」という演説が行われ、ソ連、中国の社会主義に追随しない「主体思想」の起源となる。
1958年からの五ヵ年計画は、「千里馬運動」と呼ばれる根拠のない繰上達成や超過達成を強いる精神主義的な増産運動により人民を疲弊させることに。
米ソ英による核拡散を防止する部分的核実験禁止条約への反対から中国との関係が強まり、50年代にはソ連の国家予算の四分の一もあった支援は激減。
五ヵ年計画はもともとが小さい基盤であったために大きく達成したが、工業基盤を安定させるようなものではなく、援助不測から1年早く終了する。
このころ「地上の楽園」との話を真に受けた、在日朝鮮人や日本人妻が北朝鮮に帰国するが、階級は低く監視対象として虐げられた。
61年からの七ヵ年計画のころにはキューバ危機が起きるが、ソ連の姿勢を批判する中国とソ連の関係はますます悪化、そのあおりを受けてソ連から北朝鮮への支援はさらに減少していく。
さらにコメコン(経済相互援助会議)を大国主導として参加しなかったこともあり、ソ連との貿易の条件も厳しくなる。
その後、韓国の反共軍事政権の樹立やベトナム戦争の拡大などによる国際緊張の激化を受け、「全人民の武装化」「全国土の要塞化」「全軍現代化」「全軍幹部化」などからなる「四代軍事路線」をとることに。
これによる国防費の増大や労働力不足により七ヵ年計画は挫折に近い形で終了。
71年に始まる六ヵ年計画は、韓国経済に追いつくために西側からのプラント導入を決定するが、おりしも第一次石油ショックによるスタグフレーションが発生し、外貨獲得につながらない輸入品への代替を目指していたこともあって、プラント代金を支払えなくなるというさらなる窮地に。
73年には「三大革命小組」が金正日によって進められるが、「精神一辺倒主義」としてなんら成果を残すものとはならず。
77年の緩和期を挟んで始まった第二次七ヵ年計画は、「十大展望目標」により実効された海面干拓が塩害で作物は育たず、山地の棚田化は90年代の自然災害の遠因となる。
82年には金日生の70才の誕生日を記念したモニュメントとして「主体思想塔」「凱旋門」がつくられ、海外の債権者の不振を買うことに。
83年にはラングーン事件を起こし国際的な孤立を強める。
85、86年の調整機関をおき87年に始まった第三次七ヵ年計画中にはソウル・オリンピックに対抗して平城で世界青年学生祭典を開催し、40億ドルもの支出をすることに。
89年には大韓航空機爆破事件を起こす。
90年前後にはソ連崩壊と東欧革命を受け致命的な打撃を受ける。
94年に金日正死亡、喪に服すことを理由にした後継手続きの延期。
95、96年の洪水と97年の干ばつ。

軍事増強を拠りどころとした他国からの経済支援だけを唯一の経済政策とするこの国に未来があるとはとても思えません。
誤った指導者の下に暮らす国民のことを思うと胸が痛みます。

[本▼▼▼▽▽特盛]
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2005.09.11 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |












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