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森見 登美彦

「太陽の塔」と同様に京都の自意識過剰学生が主人公。
他の登場人物も含め似通ったキャラクターが出てくる。
タイトルが神話体系となっているが、入学時に迷った四つのサークルそれぞれに入ったという設定で4つの物語が語られる。
ただ、それぞれが極めて近い話になっていて、「クッション熊」「ラブドール」「海底二万里」「蛾」などあえて同じ小道具や同じシチュエーションをリフレインさせている。
にもかかわらず少しずつ違うストーリー展開。ちょっとしたずれが新鮮。
小説中の話にも出てくるデジャヴを3度も地でいったような構成に眩暈を感じる。
その意図はよくわからないけど、おもしろい構成であることはには間違いない。
ただ、それがどうしたと言われればそれまででもある。
登場人物では主人公と黒い糸でつながっていると言ってはばからない小津がとにかくおもしろい。
こんなに魅力的なヒールは日本の小説には珍しいのでは。

言葉の密度に、前作「太陽の塔」のような濃密さはない。
文体に焼き直しのようなところも否めない。
ただ、自意識過剰で思い込みも強い時代錯誤な学生が、サークルの選択の違いからほんの少しずれただけのストーリーになっていくところはちょっとくせになりそうな味わい。
でも結局はさほど変わらないというのがなんともいえない脱力小説でもある。

不思議な構成を楽しめる小説でした。
デビュー作と近いようでかなり違うという感想です。
おもしろいかと聞かれれば、おもしろいでしょうねというのが読後の印象です。
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2005.04.11 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |












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