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その名にちなんで


この作品に不足するものをあえてあげるとすれば装丁ぐらいでしょうか。
それにもかかわらず、この本の良さを表現するのはなかなかむずかしい。
原題は「The Namesake」。
海外文学には珍しくすでに新聞、雑誌で高い評価を受けています。

電車事故で一命を取りとめたアショケ・ガングリーは、アシマと結婚し子供をもうける。
そして、ガングリー夫婦はその息子をゴーゴリという名で呼ぶことに。
ゴーゴリはアショケが事故にあったときに偶然手にしていた本の作家名。
ベンガル人でありながらアメリカに暮らすロシア名のゴーゴリの人生が描かれていきます。
人生は偶然に始まり、幾ばくかの出来事によって紡がれていきます。
自体のあるようでない人生が、本人の思いを知ってか知らずか形作られていく。
この小説を読むとゴーゴリーの人生と経験した出来事を追体験しているような気分になります。
でも、それはだれの人生でもないような普遍性を感じさせるもの。
人生の在り様を見せつけられたようです。
決して哲学的でもなんでもなく、一見ドタバタ家族劇のようでもあるのですが、時間と空間を超えて人の存在自体と一生を感じさせてくれる作品です。
世界観の深さに加えてあまりにもうまい感情の表し方には舌を巻きます。
いずれもほとんど表に出てこないのに。
なんということでしょう。
ジュンパ・ラヒリは2作目にして偉大な作家になりそうな予感がします。

後年のロシア文学に多大な影響を及ぼしたと言われるゴーゴリの「外套」が物語のモチーフとして置かれていますが、主人公もアカーキイ・アカーキウィッチという名前を成り行きでつけられ、外套が重要な意味を持つ。
本の扱われ方が、「めぐりあう時間たち―三人のダロウェイ夫人」(マイケル・カニンガム作)のヴァージニア・ウルフにほんの少し似ているような気がしました。
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2004.08.29 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |












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