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荻原 浩

最近、記憶について考えることがときどきある。
自分の物忘れもあるのだけれど、記憶自体が存在の証と思うからだろう。
人は記憶があいまいになると記録として残すことに力を注ぎ始める。
自分の記憶ではなく、人の記憶に頼るために...

この小説はとにかく記憶を失っていくことの現実を突きつけてくる。
とても他人事とは思えない。
明日から記憶がなくなり始めたとしたら一体何をすればいいのだろうか。
自分自身の問題だけではなく、周辺のものにとっても忘れられてしまう悲しみを伴う。
周辺にいるものこそが、真に苦しみと向き合う人たちなのかもしれない。
アイデンティティという言葉があるけど、存在の喪失はあまりにも悲しい。

最初のうちは、小川洋子の「博士の愛した数式」も同じことだったんだなぁと余計なことを考えていたのだけど、途中からは1ページごとに主人公の心情が胸につきささるようでした。

すべての現実は小説など遠く及ばないところにあると再認識。
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2005.04.10 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |












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