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8月の果て


柳美里の私小説。
彼女の祖父の代からの営々と続く血のつながりについて書かれています。
とても長い物語ですが、なにかアリランを聞いているようなリズムを感じながら読みました。
物語は長距離の選手だった祖父の李雨哲(イウヨチュル)の少年時代から始まります。
すっすっはっはっ...というマラソンの呼吸に合わせるかにように淡々と家族の歴史が描かれます。
朝鮮戦争も日本軍の悪行も貧しい生活も特別なものとしてではなく、生活の一部のような描かれ方をしています。
そのことによって、かえって当時の朝鮮の人たちの思いが心に訴えかけてくるように感じました。
当時の話題となるとともすれば暗い気分になりがちですが、強かに生きた人たちの生き様を素直に感じることができました。
日本人がつくってしまった歴史の事実を忘れずにいなければ。
二度とこんな過ちを起こさないためにも。
こういう小説に心地よさを感じるのもおかしな話ですが、なんとも言えない挿絵の妙もあって、とても穏やかな気持ちになれる作品だと思います。
これはピューリッァー賞を取った『アンジェラの灰』に通じるような感覚です。
柳美里さんの表現のうまさにも引き込まれました。
部分部分を読んでも十分堪能できる、詩と唄にあふれた美しい文章が心を捉えてはなしません。
柳美里さんの小説はずいぶん前に1冊読んだだけですが、個人的にはとてもすばらしい本だと思います。
蔵書入り決定の1冊です。
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2004.09.12 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |












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