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リーラ

玄侑 宗久

芥川賞作家で僧侶の玄侑宗久(げんゆうそうきゅう)氏の最新作。
リーラとはサンスクリットの語幹では「揺れる」という意味らしい。
ヨーガでは、神様の気晴らしとか楽しみという意味で「遊戯」と訳されるとか。

物語りは、自殺した少女飛鳥と関係する人たちが回想する形で進みます。
飛鳥を追い詰めた人、それを気づかないで悔やむ人、事実を受け止めかねる人。
それぞれの登場人物の視点から描かれます。
一般の小説なら、飛鳥の心の揺らぎや彼女の死を弔う気持ちがとても繊細に描かれていてすばらしいというところになるのだろうけど、どうやらこの小説の眼目はそんなことではないということが後半に入ってわかってくる。
「慈悲」という言葉が一番小説のイメージに近いような気がした。
それも誰の慈悲と断定できないようなもの。
どうやら善悪や原因結果などは、この物語においては意味を持たないということらしい。
それぞれに起こった幸不幸すべてに意味があるような、意味すら不要なような。
まさに、サブタイトルになっている「神の庭の遊戯」。
この小説で語られているように境地に至るにはまだしばらく時間がかかりそう。
日常から離れ、不思議な穏やかさに包まれる物語でした。
当然、弱冠の宗教色は感じますが、世俗にまみれ迷っている多くの人に読んでもらいたいような気がしました。
決して宗教勧誘小説ではありませんのでご心配なく(笑)
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2004.09.26 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |












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