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ナラ・レポート

津島 佑子

よくもまあ、こんな壮大な物語を書けるものだとただただ感服しました。
私が今年読んだ本のベスト3入り間違いなしの作品です。
カタカナのタイトルや万葉文化館に所蔵される今井珠泉の「牡鹿啼く」を使った美しい装丁からは想像もできない内容です。

父に棄てられ、2才で母と死に分かれたモリオ(森男)は、ある日奈良公園で鹿の耳を切り落とし殺害する。
そして亡き母の声に誘われ大仏の前に立ったとき、時空が濁流のように渦巻き始める。
物語は平城京から現代の奈良までを自由に横断し、場所にも時間軸にも血にも捕われない世界が描き出される。
出てくる人物は、人間であったり動物であったり、母であったり子であったり父であったり。
さらに父である人が子供になり年齢が逆転することも。
さらに一瞬にして数百年の時代を超えた意識が表れ、後世の視点を前世に感じるような場面も。
筋道だったストーリーを期待するとみごとに裏切られますが、意識の底に眠るものをたたき起こされるような感覚を覚えます。

一貫して語られるのは、母を想う子と子を想う母の関係のみ。
それは、国も宗教も時代もすべてを飲み込むほどに無限に続くつながり。
それは厳しい生と死の営みさえも超えた世界観。
これに並びうるのは何ものからも解き放たれた自然界そのものだけか。

輪廻転生という考え方がありますが、これを膚で感じるようなとてつもない小説でした。
そして、そのつながりが血縁さえも超えた母性のみであるということを痛感させられました。
独特の文体とともに心を捉えてはなさない作品になりそうです。

[本▼▼▼▼▼]豚と牛を混ぜたほど濃い味
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2004.11.03 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |












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