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”ちぢにくだけて、broken,broken into thousands of pieces”
松尾芭蕉の俳句「島々や」の英訳から取られたことばです。

この人の本を読んでまず思うことは、なんと日本語のうまい人なのだろうということ。
日本語だけに限らず、日本人以上に日本的といっても過言ではないと思います。
ただ、まるきり日本人になっているかというと、アメリカ人としてのものの見方も持っているので、一人比較文化論みたいな方です。

内容は9.11を扱ったものなのですが、単なるノンフィクションとしてではなく、文学として昇華しきった出色の作品と言えるのかもしれません。
この事件を自分なりの表現であらわしたいと思う多くの作家が、やられたと悔しがっているのでは。

攻撃されたアメリカを伝える機内放送。
となりに居合わせた戦争体験者の老女のつぶやき。
悪を行うものと旧世紀に戻ったように声高に叫ぶ大統領。
異教徒どもと罵り、戦争の文字が乱舞する新聞。
ニューヨークの街に雪のように舞い落ちるビジネス文書。
言い知れぬ恐怖に震える親族。

静かで美しいことばが、はかない浮世を憂うような筆致で綴られる。
なんと日本的な文学。
リービ・英雄氏は万葉集を英訳して全米図書賞を授賞していますが、まさに授賞を納得させられるような作品でした。
日本文学のよさをあらためて教えられたような感さえあります。
そして、9.11の意味を再度思い起こさせるものであることは言うまでもありません。

映画の「ロスト・イン・トランスレーション」のような雰囲気が感じられるのは、日常をはなれた環境から自己に問いかけるような情景が似ているのでしょうか。
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2005.06.30 | 本  | トラックバック(1) | コメント(0) |












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第32回大佛次郎賞(朝日新聞社主催)は富岡多恵子さんの「西鶴の感情」と、 リービ英雄さんの「千々にくだけて」に決まりました。 富岡多恵子さんの「西鶴の感情」は、2005年度第16回伊藤整文学賞評論部門にも選ばれています。リービ英雄さんは、アメリ....

2005.12.27 21:46 | 及川的大人のブログ

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