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前田 昌孝

これは掛け値なしにいい本です。
感動の度合いは読む人によるかもしれないけど、いい本に間違いないです。
著者は長年を通じて感じた憤りを抑制の効いたわかりやすい表現でまとまられています。
昭和のとらえる視点もすばらしいし、それをこういう切り口からみごとに伝えきっている表現者としての力にも感服しました。

著者は新聞記者からフリーのカメラマンになった人で、それもあってタイトルが写真を創造させるものになっています。
ところが写真なんてほとんどなくて、内容は「負の昭和」にスポットを当てたものです。
昭和というとどうしても戦後の高度成長のイメージが前面に出がちですが、それがいかに負の部分を見ないように、あるいは切り捨てて得られたものかということがよくわかります。

負は、アメリカに嫁いだ戦争花嫁の話に始まり、中国の日本人戦争孤児、偽満州国、ヒロシマへと続きます。
どうしてこういう問題が、きちんと整理されてこなかったのか、本当に不思議。
日本に対して憤懣やる方がないという気持ちです。

昭和の大罪の責任をも曖昧にし、事なかれ主義に走ってきた、戦後日本人の精神性を新たに思い起こさせた。

日本の昭和は国民を戦争に駆り立て、声を持たない国民を切り捨てるという、二重の罪を犯してきた、といえる。

第二次大戦のなか日本と同じ大罪を犯したドイツが、ニュルンベルクで開かれた国際軍事裁判に終わることなく、ナチスの原罪を時効を廃して国家のもとに追及してきたのに対し、日本は米軍部のダグラス・マッカーサー主導による東京裁判を免罪符にし、昭和の大罪を封印してしまった。
この両者の精神的相違が、日本人の原罪と将来に関わる大きな課題を生んでいる。

日本人の現代史認識の貧困は、時の総理をはじめ閣僚を経験してきた政治家が、侵略の歴史に冠する失言を繰り返し、靖国神社への参拝をめぐり、中国と中国同様の被害国である韓国との間で、幾重にもわたって軋轢を起こしてきたことでも明らかである。

侵略者の子供を自決の場や飢餓と病苦の淵から救い、成人に育て上げた中国の養父母。子供を現地に残し、長年にわたって中国人に委ねてきた日本人。


靖国神社の本を読もうかと思っていたけど、もうそんなことどうでもいい瑣末な問題に思えてきました。
靖国問題の根底にある日本人の戦後の態度をもう一度考えるべきのように思います。
きっと問題は靖国にはない。

著者は木村伊兵衛賞、土門拳賞などを受賞しているそうですが、こういう写真を撮り続けたという人がいるということだけでも救いかなと思いました。

日本の近代史についてもっともっと知らなければという気持ちです。
そうしないと、贅にまみれたこども大国から抜け出せないような気がしてしょうがない。
いったいこの国は何に対して誇りを持っていけるのだろう。
物質主義大国にある未来は一時的な虚構でしかないのだと思います。
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2005.06.28 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |












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