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V.S.ナイポール

旧植民地文学の大御所V.S.ナイポールのノーベル文学賞受賞後の第一作。
先日読んだ「ミゲル・ストリート」とは物語の重さが違うものの、根底に流れるものは同じ。
被植民地人として生きる人たちの寄る辺ない生活。
「ある放浪者の半生」の原題は「HALF A HALF」。
主人公のウィリー・サマセット・チャンドラーと彼が出会った女性アナの不確かなアイデンティティを中心に描いたもの。
イギリスの植民地だったインドから、豊かな生活を捨て自己犠牲を取った父親の生き方に反発しイギリスに移り、アナの生まれ故郷のポルトガル植民地であるアフリカ(モザンビーク?)での流浪の生活を送る半生。
ウィリーの人生観を通して、被植民地人を半分半分の人間として描き出す。

前半は地位をすて聖者の道を選んだ父親の姿、中盤はウィリーのイギリスでの中途半端なカレッジ生活、そして後半はアフリカで性愛に流される堕落した生活。
一貫するのは、自分の確固たる存在価値を一向につかめないままの生活。
モラトリアムというにはあまりにも長い年月
これが被植民地国にある人たちの実情なのだろうか。
彼らのアイデンティティは再び見出されることがあるのだろうか。
その傷はあまりに深い。

本書の主題とは直接関係しないかもしれませんが、前半の父親を書いたところは、とてもおもしろかった。
聖者の生き方ってきっとこんな感じなのだろう。
独特のユーモアにあふれる人間関係の描写が最高でした。
ここだけで一冊の本にしてくれれば、それはそれで極上の物語ができたような気もします。
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2005.06.13 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |












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