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ダイ・シージエ (新島進訳)

フロイトの夢分析をモチーフに中国を舞台に、精神科医が投獄された昔の彼女を救うために判事にささげる処女を探すというお話。エディプスコンプレックスとかけているところもあるようなのですが、心理学に詳しくないのでよくはわかりませんでした。
こう書いてしまうと得たいの知れない物語のようですが、実際には静かな夢の世界でのできごとのような雰囲気もあり、著者のフロイトやユング、ラカンへの傾倒もあり独特のムードを楽しめます。とはいうものの決してまじめなストーリーとは言えず、基本的におふざけタップリのドタバタ小説と思っていいと思います。当時の体制を皮肉りながらも何もできなかったという感じを笑い飛ばしている感じでしょうか。前作が文化大革命をシリアスに捕らえていたのに対し、今回はユーモラスに描いていて、どこか質の高いコミックを読んでいるようなところもあります。『博士の異常な愛』なんかにつながるテイストですね。結構好きなタイプです。主人公をはじめとして胡散臭いキャラクターがいろいろ出てきて楽しいのですが、できればもう少しストーリーに筋が通っているとよかったかな。
読み始める前にどこかで見たような本だなと思っていたら、なんと『中国の小さなお針子』と同じ作家でした。『中国の小さなお針子』のほうは結局映画しか観なかったのですが、シリアスとコミカルという違いこそあれ、両者に合い通じる背景を感じます。フランス留学した著者の祖国へのまなざしは変わらないようです。どちらがいいと言えないところはありますが、いずれもが間違いなくダイ・シージエの作品なのでしょうね。これが文化大革命の現実だったと思います。昔の彼女を救うために処女を探しながら、結局自分がその処女に惹かれてしまうおかしさ。これぞ政治体制に関係なく自分の道を生きる中国のしたたかさですね。

#会社で大きな問題発生の週に読了

[本▼▼▼▼▽汁だく]
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2007.07.29 | 本  | トラックバック(2) | コメント(2) |

映画のみだったのですが、「フロイト~」が気に入ったので、「バルザックと~」も読んでみました。 これも、良かったですよ。 映画よりも良かったです。
周囲の状況の厳しさを殊更に強調する訳でない筆致が爽やかですし、それだからこそ伝わってくる者がある気がします。 

今回初めて知ったのですが、ダイ・シージエ氏は本来は映画監督で、映画「中国の小さなお針子」は彼が自らメガホンを取ったという事です。

2007.07.29 23:38 URL | ユイー #- [ 編集 ]

言いたいことを露骨に出さないところがいいのでしょうね。どんな設定をしようが、あくまでも爽やかというところは同感です。
作家の副業で監督をやったのかと思っていましたが、映画監督が本業なんですか。『中国の小さなお針子』は映画と小説とどちらが先だったのでしょう。同じ人が同じ作品を小説と映画にしてしまうというのもよくよく考えると不思議ですね。

2007.07.30 08:15 URL | uota #ogz9v/Dw [ 編集 ]












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