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甲斐 大策

甲斐大策という人の本を読むのははじめて。はじめて読む作家などはいくらでもいるものだけど、この人の場合、著作に出合ったこと自体に意味があるような気がする。実際、川崎市の図書館に蔵書がなく、運良く千代田区図書館で借りることができた。出版社もかなりマイナー。松岡正剛氏の紹介文を見なければ生涯出会うことの無かった本だったと思う。
大陸の生活や文化を描いた本などいくらでもあるけれど、この人ほど外者の見た勝手な色を付けることなく、淡々と現地の物言わぬ実体に近づくことのできる人はいないのではと思わせる。
最初、『餃子ロード』という意味不明のタイトルに惑わされ、途中では単なる餃子つながりの旅行記かと思うこともあるのだけど、そんなうわべで語れるような話でないことにすぐ気が付く。俗に文化とか歴史といった言葉で語られるものを自らの五感だけを頼りに感じ取ったとでも言えばいいのだろうか。
ノンフィクションにうそがあってはいけないのだけれど、少なからず脚色がありそうに感じる。それに比べて、この甲斐大策さんの書いた文はいっさいそういう疑念を感じさせない。仮にあったとしてもそれは本人の内側にとどまるもので、現地の空気と溶け合ってしまうものではない。とても不思議な文章を書ける人だ。
アジア大陸を歩き続けているという甲斐さんだけど、これまた普通の旅行者に見えない。かといって現地の人と一体化している様子も感じられない。どこにとどまることもなく、風のように町を吹き去る。それでも、路地の裏の裏まで、人々の心の奥底まで届かないところはない。
今まで読んできたロード・ノベルが陳腐に感じるような力強さはどこからくるものなのだろう。
普段耳にすることのない言葉が、次から次へと出てくる。日本人にわかるようにという配慮は一般の本よりも少ない。それにもかかわらず、出てくる人々の姿は現地を見ていたかのように鮮烈に焼きつく。
話のあいだに挟まれるペン画は画面を黒で塗りつぶしたようなもの。この白を押さえ込んだような黒いイラストにもなんともいえないリアリティを感じてしまう。

#台風が近づき朝から雨 ドビュッシーの『映像』『版画』など聞きながら

[本▼▼▼▼▼]
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2007.07.15 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |












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