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島尾 敏雄

日本文学の金字塔のひとつ「死の棘」。
そちらのほうを読まずして、この日記を先に読んだ。

これを抵抗なく読めるというのは、自分の体調もよほどいいということらしい。
そうでなければ、毎日狂気と死に向かい合う生活の日記なんてそうそう読めるものではない。

島尾氏は、4人家族で小さな家に住んでいたようで、まさに川の字になって寝るような生活。
家族でラジウム湯に行くのが唯一の楽しみのようになっている。
時折はさまれる吉田内閣解散、文豪たちの交友などの記述のそこここに、当時の状況や風情も感じます。
ただ、私的に書かれた日記なので、まともな読み物としての体裁さえなしていない。
それだけに生活の匂いがぷんぷん香ってくる。
終戦直後の生活が手に取るようにわかります。

奥さんのミホさんは、島尾氏の浮気をきっかけにキチガイになった。
彼女には自分の力で精神をコントロールすることはできない。
それを受け止める旦那のほうは、疲れからことあるごとにクビツリを口にし実行しようとする。
それを止めようとするのがミホさんであり子供たち。
ただ毎日を生きていくだけが苦しく悲しい。

この日記を読んでいると家族って何だろうとつくづく考えさせられる。
自分の辛さをこらえながら支えあう姿がなんとも切ない。
こんな厳しい中にも愛情の断片が見え隠れする、きっとそれが家族なんだろう。
そんなことを感じながら読んだ。

この本のはじめに、刊行に寄せてという一文が添えられている。
それを書いたその人こそが精神に異常をきたしたミホさん本人。
彼女は、あの状態にあったときに夫がこの日記を書いていたことが信じられないという。
とても日記など書ける状態ではなかったのだと。
この日記そのものが、彼女へささげられた愛情のすべてのようにさえも思えてくる。

家族の真髄を見せられたような1冊でした。
いつか「死の棘」も読んでみたいと思いました。
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2005.06.07 | 本  | トラックバック(0) | コメント(4) |

大学生のとき読みました。静かに恐かった記憶がありますが、日記があるのは知りませんでした。岸部一徳と松坂慶子が縁側に正座してる映画のポスターが印象的でした。(見てないですが)
敏雄の孫にあたる「しまおまほ」さんのイラストやエッセイからはまったく祖父母のような静かな狂気は感じなかったです。

2005.06.08 23:02 URL | Chimay #0eFzfsL2 [ 編集 ]

Chimayさん、コメントありがとうございます。
私の場合は、この本を読んで怖さを超えた愛情のようなものを感じました。
家族の絆ってすごいなぁと改めて思いました。
お孫さんはイラストレーターなんですね。
知りませんでした。
お子さんやお孫さんの世代の生活を知ると敏雄の若かりしころとは隔世の感がありますね。

しまおまほホームページ
http://www.catnet.ne.jp/usimaoda/one_more/maho/index.html

2005.06.09 23:03 URL | uota #ogz9v/Dw [ 編集 ]

『死の棘』がNHK BSで放送される予定(6月30日)なので、それまでに日記も併せて読んでみたいと思います。

2005.06.12 08:45 URL | えいじ #50jynCW6 [ 編集 ]

えいじさん、こんにちは。
そうなんです、NHK BSで放送されるんですよね。
私も楽しみにしています。
映画のほうも小栗康平監督の名前を世界に知らしめた作品らしいです。
ほんとうは「死の棘」を読んでからこの日記を読んだほうがいいと思うのですが、事実の迫力は日記のほうが勝るような気がします。

小栗監督のオフィシャルサイト
http://www.oguri.info/movie/shinotoge/

2005.06.12 08:57 URL | uota #ogz9v/Dw [ 編集 ]












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