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ジョセフ・E. スティグリッツ(楡井浩一訳)

米国大統領経済諮問委員会や世界銀行の上級副総裁などを歴任したとは思えないほど、辛らつで子気味よい読後感の得られる本です。毒舌とも言えるアメリカ批判は爽快感すら感じます。ノーベル賞を受賞した現代を代表する経済学者の吐く言葉には現実味と重みがあります。
内容はかなり深刻なもので、グローバリズムそのものの批判ではないものの、その進め方や民主制を欠如したガバナンスに対する問題提議が貫かれます。今さまに直面している現実をありのままにわかりやすく説明してくれていると思います。
グローバリズムの土台となる市場経済崇拝。レーガン、サッチャーにより始まり、共産主義の崩壊とともに高まったといいます。妥当な利益獲得と適正な再配分が行われない状態でのグローバリズムは、搾取同然にアメリカのような一部の国家や多国籍企業に流れ込むということです。

1.グローバリズムのルールが不公平
2.地球環境を無視
3.途上国の主権が損なわれ、民主主義が弱体化
4.先進国、途上国ともに敗者の増加
5.途上国に押し付けられた経済システムが国情を無視

効率さえあがればよいとする「ワシントン・コンセンサス」にあっては、その前提となる、完全なる情報と完全なる競争、完全なる市場リスクのいずれもが途上国に不利となるもの。スティグリッツは、途上国の声がほとんど反映されず、利権集団の声ばかりが反映されるところに現状のガバナンスの問題があると指摘します。市場経済を万能とした経済政策を批判し、公的な機関による効果的な介入の必要を示唆しています。政府と市場とのバランスが重要ということのようです。
さらに、どの国に対してもフリーサイズで提供されるIMF施策や先進国の意向だけで意のままに操られている国際機関や国際会議のあり方に苦言を呈し、それに変わる国際機関の創設の必要性に言及しています。グローバルズムを享受できた数少ない途上国のほとんどが東アジアに属し、そのいずれもが市場経済やIMFのみに頼らず、政府の積極的な役割がはたしたそうです。97年のタイ、韓国、インドネシアなどの通貨危機でIMFへの疑念が表出したよい例とも。アメリカのみが否決権をもつ、実質ドルの意向がすべてIMFのような機関に途上国を救うことはできず、アメリカの旁若無人な経済活動によって格差ばかりが助長されると民代の大きさを指摘します。

基本的に『スティグリッツ早稲田大学講義録 グローバリゼーション再考』に書かれていたものと同じで、内容をより詳細にしたものでした。
グローバリズムの問題を的確かつわかりやすく指摘したよい本です。

・現在は効率以上に賃金低下、失業率上昇、国家主権の喪失などの負荷コストが問題視される。
・効率的なアメリカを上回る価格はズルという考えに基づく、ダンピング法や輸入品に責任のないセーフガードの乱用
・先進国に優位な商品だけが市場開放の議論に乗る
・途上国の工業化を妨げる傾斜関税(未加工品の関税を安く、加工品の関税を上げる)
・なけなしの資金をつぎ込んでつくった人材を奪い取られる
・遺伝子組み換えなどのリスクをのぞく科学的な基準に反対するアメリカ
・ウコンの価値のような途上国固有の知恵さえも知的財産として自国のものとしようとするアメリカ
・合法的な手段を使い、事情のわからない資源産出国を搾取しつくす多国籍企業。
・全体の25%を占める大気中に毎年60億トンの二酸化炭素をふやしながら、その温暖化影響を認めない汚染大国アメリカ
・エネルギー使用量に対する排出率で日本などの倍の二酸化炭素を排出をし、一部の途上国の批准しないことを理由に京都議定書に反対するアメリカ
・途上国に調合乳での育児を推奨したネスレのような多国籍企業の貪欲さや健康保険にも入れないウォルマートの低賃金などは企業コストを社会に押し付ける例
・途上国への過剰な貸付が多額の返済を生み出し、貸付による支援より返済による負荷を増大させる債務構造
・強い通貨ドルへ公債購入という形で流れ込む構造
・財政赤字のアメリカのドルを機軸とする世界経済のリスクとユーロへの期待

<覚え>

ウリグアイ・ラウンド
ドーハ・ラウンド
グラミン銀行
NAFTA
TRIPS協定
バイオパイラシー
オランダ病

[本▼▼▼▼▽大盛]
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2007.04.15 | 本  | トラックバック(0) | コメント(2) |

非常に詳しいレビューありがとうございます。
会社を人にたとえて法人と呼ぶならば、国を人にたとえたアメリカと言う国は傍若無人の何者でもないですね。
公平でないルールのもとで自国の都合の良いように、相手国(途上国)や地球全体といった環境のこともまた自国にとってどうかが基準。

しばらくはアメリカ経済やドルが基軸でしょうが、いま急激にユーロ高になっていますね。

米ドルは持っていませんがユーロは持っています(って個人的な話しても仕方ないですが:笑)。

国防の話もあるので、純粋に市場の話だけはできませんが、いつかアメリカ中心の世界というものに終わりは来ないものでしょうか。。

2007.04.17 19:28 URL | junike #GCA3nAmE [ 編集 ]

アメリカが悪いというか、アメリカが立法、司法、行政の三法をすべてもっている印象でしょうか。
アメリカは得する仕組みやルールをつくるのがうまいですね。        多勢に無勢とみて迎合し与しているのが日本なわけですが、言うべきは言うというスタンスがとれるかどうか。
EUと中国が対立軸になるのは時間の問題ですし。そのとき日本はどこにつけるかが、あるいはつけないかということでしょうか。

2007.04.18 09:45 URL | uota #ogz9v/Dw [ 編集 ]












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