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大浴女

鉄 凝

よく中国もののテーマになる、文化大革命から改革あたりを描いたものです。
出版社の副社長の尹小跳(インシアオティアオ)とアメリカ人と結婚し故国を捨てた次妹の小帆(シアオファン)姉妹を中心とした女性物語です。
彼女たちと時代をともにした女性たちや男性との出会いを通じて時代を検証したような小説でした。
検証といってもそこは小説、なかなか生々しい物語でしたが。

両親が労働改造にために葦河農園に拘束されていた幼年期から壮年になっての不倫や家族との確執までが大河ドラマのように描かれます。
尹小跳の末妹に対する懺悔や母親に対する憎悪、妹との確執、美しい友人唐菲(タンフェイ)や料理好きな孟由由との交友などが包み隠すことなく赤裸々に描かれます。
さすがに改革期にあった中国での出来事の数々は筆舌につくすものがあり、その濁流に飲まれそうになりながらも生き続けた女性たちの強さには驚くばかりです。
生きるということをこれほど生々しく書いた小説も少ないのではないでしょうか。
時代の開放と幼少期のトラウマからの開放を重ね合わせて描いた大作作品だと思います。
中国の変化の激しさを目の当たりにするようです。

多少のミステリー色や次々と起こる出来事や翻訳の読みやすさもあって、ストーリーに引きつけられました。
女性の持つ芯の部分を改めて見せられたような気さえしました。
その分、当時の中国を同時体験しているようで、なかなかヘビーな読後感。

中国の人の率直さにはいつも驚かされますが、この小説も例外ではなく、ここまでずけずけと言うかとい思うほど遠慮がありません。
このあたりは日本のオブラート型小説とは異なる作風ですね。

自分のふるさと、愛する人といっしょにいること、自分の好きな物を食べること

というシンプルな言葉が、読了後なぜかしら心に深く残りました。

タイトルになっている「大浴女」はセザンヌの絵から取られたそうで、「女たちの裸体が健康で、率直で、自然で、樹木や大地と融けあっているところから小説の内容と呼応する」というのが理由だそうです。
読んだ感想は、その言葉通りで、女性たちが、時代に翻弄されながら生きていく様は自然の営みのような美しささえ感じるものです。

よくみるとこの本の翻訳者は「霊山」と同じ方でした。
値段も高いし、中国文学というのはよっぽどマイナーな世界なんでしょうか。
韓国映画にいいものが多いように中国文学にもいいものが多いのに認知されないのが残念です。
それに比べて日本の文学・映像レベルはどうなんでしょう?
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2004.11.23 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |












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