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J.M.G. ル・クレジオ

ル・クレジオの少年時代の思い出話だとしたら、どうしてフランスで大ベストセラーになったのか。それを知りたかった。
ナイジェリアやカメルーンあたりに医師として暮らした著者の父親を淡々と回想していく。ときおりはさまれる写真が文章とあいまってとても美しく感じる。
少し読みにくい文章を読み進めていくと、「アフリカのひと」である父親は常に第三者として描かれていることに気づく。著者自身が見聞きして記憶に残っているものもあるけれど、多くは資料や記録から掘り起こして書かれているような印象を受ける。そこにはリアルな記憶としての父親像は少ない。あえて距離をおいているのかもしれない。ところが、読むうちにル・クレジオ自身と父親が確実に重なってくる。ここが、この本のおもしろさなのだと思う。そこに父が語るでも息子が語るでもない、アフリカに人生を捧げアフリカと一体化したひとりの人間が浮かび上がる。さらに、その人とアフリカが裏表であるかのように溶け合っていく。アフリカを客観的に書くこともできるだろうし、アフリカでの生活体験を書くこともできると思うが、この本はそのいずれでもないアフリカそのものを描いているように感じる。
これはアフリカを描いた書物として出色な1冊だと思います。父親の回想録にとどまらず文学としての価値も感じさせてくれるものです。
読み終わるころには装丁の青い色がアフリカの夜明けの美しさを伝えるものであることに感動すら覚えます。

[本▼▼▼▼▼]
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2006.04.30 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |












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