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戦争請負会社

P.W.シンガー

先のイラク戦争で民間の軍事要員は2004年時点で2万人。
非アメリカ人兵士全体にほぼ匹敵するものだったという。
当然、死傷者も連合軍の数を上回る。
ファルージャの攻撃のきっかけになった米民間人4人の惨殺も記憶に新しいところ。
このニュースで戦争請負会社の存在を始めて知った。
彼らの実態は民間人ではなく、軍人と言ったほうが一般のイメージには近い。
そんな戦争請負会社が戦争中のスティルス戦闘爆撃機などの維持管理から戦後の治安管理までを受託したのだという。
冷戦崩壊後、私たちの知らないところで戦争は民間のビジネスとなっているのだ。

これらのは民間軍事請負企業(Privatized Military Firm)と呼ばれている。
顧客は独裁者、麻薬カルテル、主権国家、多国籍企業、NGOと多岐に渡り、活動地域は全世界のほぼすべての紛争地域を網羅している。

戦争の歴史を見ると、古代より外国人兵士は存在していた。
紀元前のファラオがイスラエル人をエジプトから追い出したのもエジプト軍もその例。
ギリシャにおいてもスパルタなどの市民軍は例外とし、その多くが外部専門家雇い軍勢を作ったという。
ローマ時代後期のカルタゴがほぼ全面的に傭兵に頼り、ローマ帝国の崩壊後の中世では傭兵が主力となった。
その後、ナポレオン時代の18世紀、傭兵による王の戦争が国民の戦争に変質した。
その後続いていた国民戦争が近年急速に民間に戻りつつあるということらしい。
ただ、古代よりある傭兵とPFMは似て非なるもので、傭兵が個人であるのに対してPFMは軍事業務の法人企業形態と商売第一主義にある。
1800年以降戦争で外国兵を持つという週間は禁じられ、ジュネーブ条約で国際ルールとして確立した。
それが今また、形を変えた民間による戦争ビジネスへと変わりつつある。

ジュネーブ協定がありながら、安全保障の民営化が容認されている背景はというと。
米ソ2大国家体制の崩壊による「安全保障の空白」が生まれ、紛争の分散や内戦が頻発、内戦であるにも関わらず紛争が国境を越える。
加えて、冷戦後の経済開放(グローバリゼーション)による貧困地域の拡大による生活のための兵士増大。
さらに、テロリストのような非国家集団の台頭、冷戦後の軍隊消滅による民間兵士市場の拡大、武器の民間市場への放出。
紛争国家の統治能力の衰え、旧宗主国の紛争地域への介入意欲減退(自国の存続に影響しない、地域紛争への軍隊の不向きなど)が後押しすることになる。

戦争請負会社はアメリカ、イギリス、フランス、イスラエルなど先進国の多くに存在するが、主な企業は下記の通り。

軍事役務提供企業(実践と指揮)     サンドライン社、エグゼクティブ・アウトカムズ社)
軍事コンサルタント企業(助言と訓練)  MPRI社、ヴィネル社、ダインコープ社
軍事支援企業(非査証的支援と補助)  ブラウン&ルート社、SAIC社

エグゼクティブ・アウトカムズ社
 南アフリカの企業でアパルト・ヘイトに始まりアンゴラ内戦、シエラレオネなどアフリカ各地で 参戦。1999年1月1日解散。

MPRI(ミリタリー・プロフェッショナル・リソーシズ・インコーポレイティッド)社
1987年設立。最高レベルの米退役軍人を擁する。
主な活動は旧ユーゴスラビア。
クロアチアを強化し地域の番犬に仕立て上げ、ボスニア人と同名させ、力でセルビア人と均衡を保たせるためにクロアチの軍事訓練を行い「嵐作戦」を決行。

BRS(ブラウン&ルート・サービシーズ)社
米軍のいくところの多くの軍事支援業務(兵站)を受け持つ。親会社は有名なハリーバートン社。

連戦後の国際社会の変質をこんなところにも垣間見る。
戦闘を生業とする企業の株が一般企業を上回る人気で取引され、さらなる業績向上に腐心する。
そこでの求人を頼りになだれ込む労働力。
どうにも不条理な気がしてならない。
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2005.02.27 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |












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