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スティーヴ エリクソン

ヒットラーの悪を単なる絶対悪として片付けず、それもひとつの人間性の表れとするところにこの小説の言いたいところはあるらしい。憎みきれない人間性こそがもっとも恐ろしい事実ということか。少なくともエリクソンはそう感じているらしい。エリクソンは世間一般の解釈をよしとしない。そういえば『アムジニアスコープ』でも人の本性はそんなところにはないと言っているように感じた。
物語は他人に育てられたインディアンの大男バニング・ジェーンライトが時代を遡り、ふたつの世界をまたがる悪の歴史を追う。物語の最初と最後をつなぐのは善でも悪でもない存在とも言える白髪のマーク。マークから語り部の役を引き継いで登場するジェーンライトはすべてを終え死んでいるという設定。ジェーンライトの生きた時代は、ヒトラーが姪のゲリ・ラウバル(デーニア)を愛したというところから歴史が分岐し、もうひとつの悪が生き続ける世紀としてはじまる。仲介者ホルツの提案のもとジェーンライトの書くポルノ小説に登場する少女をゲリ・ラウバルに似せることにより愛読者ヒットラーの心を動かしロシア侵攻を遅らせる。その結果としてナチスの滅亡がなきものとなる。
生延びたヒットラーにより妻子を殺されたジェーンライトの復讐心にも関わらず普通の子供を生んだデーニア。思いを遂げられず息絶えたジェーンライトをデーニアが見るところでパラレルな世界がまたひとつになる。川に浮かぶダヴンホール島の中国人街でパラレルな世界がまたひとつにつながる。
デーニアは、いく人もの異なる女性として描かれるので話がわかりにくいけれど、パラレルな世界を融合し分離させるチェンジキーになっている。彼女のあり方から物語全体が男性世界と女性世界が対比されているようにも見える。

読み終わったとたんに最初から読み直したい衝動にかられるみごとに入り組んだ小説です。パラレルなふたつの世界が時空をねじ曲げたようにつながっているので、メビウスの輪のようにどことどこがつながっていて、どこで裏と表が反転しているのかがとにかくわかりにくい。登場人物がパラレルな世界を超えて出てくるのでさらに混乱を招きます。でもそれが心地よく感じられるお話です。
ストーリーは違いますが、『ベルカ、吠えないのか?』を思い出したので調べてみると、古川日出男も好きな作品にあげていました。やはり影響を受けたのでしょうね。

船頭ジーノ老人(青色の外套を着たギリシャ人)
白い髪のマーク(船頭としてジーノ老人の後をつぐ)
デーニア(マークの母 ジェーンライトが呪いの子供マークを生ませる)
酒場の女グリーク・ジュディ(=ジュディ・ガルシア)
青いドレスの女(島に渡り行くへ不明)

バニング・ジェーンライト(インディアン 1917年生まれ)
ヘア・クローネヘルム(ジェーンライトの書くポルノの売買仲介者)
カール
依頼人X(ヒットラーの下部)
Z(歴史の下部ヒットラー)
翻訳家ペーター(ジェーンライトの書くポルノの翻訳者)
ホルツ(クローネヘルムの後継仲介者)
メーガン(バニング・ジェーンライトのイギリス人妻 ナチスに殺される?)
コートニー(バニング・ジェーンライトの赤毛の息子  ナチスに殺される?)

ジュディ

ダンサーのデーニア(ヒットラー復讐のための子供マークを生む)
ホアキン
ポール
ブレーン(ダヴンホール島の秘密の小屋で焼死)
ゲリ・ラウバル(ヒットラーの姪で青い眼の恋人)

[本▼▼▼▼▼]

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2006.09.24 | 本  | トラックバック(0) | コメント(4) |

わたしのエリクソン初体験はこの「黒い時計の旅」でした。
普段、読んだ本のある一つの文章に感動したりしないのですが、この本では、気に掛かる文章が沢山あって、いちいち付箋を貼付けて何度も繰り返し読んだ事を覚えています。

2006.09.26 23:43 URL | yu'e #- [ 編集 ]

yu'eさん、こんにちは。
いいですね『黒い時計の旅』。こういう本に出会うと読書の楽しみが広がります。
私もこの先何度か読み返しそうです。
映画も本もyu'eさんと好みが近そうですね。
これからもよろしくお願いします。

2006.09.27 22:43 URL | uota #ogz9v/Dw [ 編集 ]

>『ベルカ、吠えないのか?』を思い出した
私もです。
語り口調も似てましたよね。
そういえば、青いドレスの女は誰だったのでしょうか?
若きデーニア?
uotaさんは、プリーストの『双生児』はお読みになりました?
まだでしたら是非。

2007.06.03 11:08 URL | LIN #- [ 編集 ]

青いドレスの女の人いましたねぇ。だめです、もう思い出せません。こうなったら、もう一度読みます。
『双生児』は今予約待ちです。あれも同じような感じなのしょうか。楽しみです。

2007.06.03 17:14 URL | uota #ogz9v/Dw [ 編集 ]












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