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11分間

阿部 和重

「シンセミア」を何度借りても手付かずのまま返してしまうので、文芸春秋でまずは「グランド・フィナーレ」の表題作だけ読んでみることにしました。
阿部和重の作品ははじめてです。
第一印象はちょっと理屈っぽい表現だけど芥川賞らしいかな。
とくに主人公が普通の人のようで実は普通じゃないところなんか、そう。
そもそも阿部和重にしてみれば”普通”の定義が違うのだろうけれど。
主人公に限らず、全体に日常に潜む狂気のようなものをちょっと感じさせる。
きっと、そこがいいのだと思う。
それが今の世の中の現実ということかもしれない。
主人公の嗜好は阿部和重本人の嗜好ともやや似たところがあるらしい。
「シンセミア」のメルヘンチックな装丁にさしたる理由がない(テレビで言っていた)ということを聞けば納得もいく。
最終的に主人公が救われたのか、そうではないのかは正直わからない。
その判然としない危うさを残すところが作者その人のものの見方であり作風なもかもしれない。
ある意味必然的に起こるべくして起こった罪の肯定のようなものすら感じる。
密度の濃い文章は時折つかえるような違和感を抱えつつ、妙にリアルで生き生きしているのも事実。
重く密度の濃い文章が勝手に呼吸しているようだ。
これからも阿部和重を創造主とした神町を舞台に多くの作品が書かれていくのだろう。
楽しみな作家の一人です。
1冊読んでここまで断定するのはあまりよくないかもしれない。
次こそ「シンセミア」を読み切ろう。
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2005.02.14 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |












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