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シコ・ブアルキ

 ボサノバやサンバの軽やかさをイメージして読むと肩透かしをくう。想像していた以上に文学性を持った小説でした。著者はブラジル音楽界では一目置かれた人ということらしいのですが、それは作曲においてではなく作詞においてなのだろうということがすぐにわかります。
 「言葉」に対するこだわり方がただならぬ作品です。ストーリーとして、ハンガリー語と母国語への対比があるだけでなく、この小説自体も文字が自由気ままにさまよい、音楽のようにとりとめもなく流れるような印象を持ちます。何語であるかといったことを超越した「言葉」そのものを強く感じさせられます。主人公がゴーストライターということで、自分の存在が常にあいまいになるわけですが、取りすがろうとする「言葉」自体が本人の手からすり抜けていくあたりの浮遊感は絶妙です。ゴーストライターという職業そのものがこの小説をとてもおもしろくしています。言葉に生き、言葉に翻弄される。主人公の実態よりも何語でもない「言葉」のほうにリアリティを感じてしまう不思議な作品です。
こういう感想を書いていくと、物語性のない前衛的な小説という印象ばかりになるかもしれませんが、ストーリーもとてもよく考えられています。主人公につきつけられるようなオチは、これでもかというほどの駄目押しの一撃。救いがないといえばないのですが、「言葉」の存在はさらにその輝きを増すこととなります。
 リオとブタペスト、ブダとペスト、ジョゼ・コスタとゾゼ・コッスタ、ニュースキャスターのヴァンダとヴァネッサの双子姉妹、カスパル・クラッペとハンガリー語とポルトガル語。あとがきににもあるとおり、すべての判別のつかない「二重性」にこの小説のおもしろさがあります。ただ、クリスカだけにはそれが感じられない。きっとそこに主人公にとって唯一の実態があるからなのだろう。

[本▼▼▼▼▼]
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2006.05.14 | 本  | トラックバック(0) | コメント(2) |

えんたつです。この本はまだ読んでいないのですが、十数年以来シコの音楽のファンです。確かにシコの詩へのこだわりは尋常ならざるものがあります。それと同時にやはり曲も素晴らしいものがあります。「バイパサール」は84年軍政打倒のテーマソングになったぐらいです。しかし説教くさくなく、軽快なサンバになっているところが彼らしいです。お父さんがブラジルでは有名な社会学者という家庭環境の影響か彼の音楽には強いメッセージ性があり、また単なるプロテストソングに収まっていない所も評価できます。それにしても日本盤が出ていないのは残念です。

2006.05.23 00:58 URL | えんたつ #- [ 編集 ]

私はシコの音楽を聴いたことがありません。とても多才な人のようですね。
この本を読んでも、言葉に対するこだわりは半端ではないですね。
今まだなかった体験をしました。

2006.05.24 00:02 URL | uota #ogz9v/Dw [ 編集 ]












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