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ジェス ウォルター (田村義進訳)

犯罪サスペンス風味ではあるのですが、タイトルにもなっている通り、”市民”としてのヴィンス・キャムデンに目が向けられた作品です。あまり書くとネタバレになるので詳しくは割愛しますが、ある事情から忘れ去られるはずだった過去に戻らざるを得なくなってしまうという話です。そこには当然犯罪が絡むわけですが、自分の身を守るために過去を封印できる仕組みがあることをはじめて知りました。彼自身は過去の自分ではなく、現在の自分を大切にしたいと思いながらも少しずつ昔のできごとに引き戻されていきます。
この小説のおもしろさは、レーガンとカーターのアメリカ大統領選挙がとてもうまく取り込まれているところ。ここが”市民”ということと大いに関連していきます。ヴィンス・キャムデンにとって”市民”という言葉の持つ重さは計り知れないものということが終盤に向かって徐々にわかってきます。
ストーリーそのもののおもしろさと巧みな展開、登場人物の描写など、いずれもがとても完成度の高いもので、久しぶりに引き込まれるように読みました。派手さはないものの、一気に読ませる秀作です。

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2007.03.25 | 本  | トラックバック(1) | コメント(2) |