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久世 光彦

私と同郷の作家内田百のことを、先ごろ亡くなった久世光彦が書いているというのですから手にとらずにいられませんでした。
百先生の幻想文学というか夢文学を書く様子を小説にしたもので、あいまに久世流百作品が挟みこまれるという仕掛け。
設定も作中作品もまったく事実やオリジナルを使ったものではなく、久世光彦の考える百像ということなのですが、これが妙にしっくりとなじみます。これこそが内田百その人の姿だったのではないかと思えるほど。
架空の人物である小田原の経国寺の小坊主果林がうまく史実とフィクションをとりまとめる気の利いた役割を果たしています。居酒屋の「達留磨」や女郎屋「碇屋」も行ってみたいし、柳じょ和尚や大黒さん、竹さん(川上竹六)などの脇役もみんな魅力的です。
坪内祐三の解説によると、内田百が『サラサーテの盤』を現実世界として生き、『冥土』のセルフリメイクをしているといメタフィクショナルな作品とのこと。その巧妙なつくりがとてもうまいんですよね。タイトルも黄色にこだわった装丁もいうことなし。ただし、最後の作品は久世光彦の遺作として未完成のままです。
百先生の憎めない人柄と久世光彦の技のうまさを感じられる秀作だと思います。とても楽しく読めました。
『冥途・旅順入城式』と併読。

[本▼▼▼▼▽大盛]
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2006.06.21 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |