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V.S.ナイポール

川上弘美さんの書評を読んで買った一冊です。
彼女との付き合いは作品よりも書評でのほうがしっくりいくような気さえします。

ミゲル・ストリートは、ノーベル賞やブッカー賞を受賞し、40年の時を経て翻訳されたV.S.ナイポールの実質的な処女作だそうです。

「名前のないモノ」ばかり作る大工、受験にまったく合格しない頭がいいと思われている男、「世界でもっとも偉大な詩」を書いている詩人、父親が違う7人をもつ母親など17人の住人がそれぞれぞれの短編としてまとめられています。

舞台は生活感にあふれ小さな路地や裏道りのあるミゲル・ストリート。
ポート・オブ・スペイン(トリニダード)の膚をさす日差しや頬をやさしくなでる風を感じます。
植民地という厳しい現実をさほど表に出すことなく、清涼感を感じさせるほどストレートにそれぞれの生き様が描かれています。
それは、希望と絶望が交じり合い、美しささえ感じるほどのせつなさにあふれた街。
ステレオタイプの人間ばかりが住んでいる飽食の都市東京とは対極にある生き生きした個性が新鮮。
ここに住むの人たちには神が宿っているかのようにさえ感じます。
ミゲル・ストリートは、私の中でなかなか忘れがたい街になってしまいました。

スティールドラムでも聴きながらラム酒を横において夏の午後にゆったりとした時間を過ごしたい気持ちにさせられます。
なかなか得がたい小説世界です。
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2005.05.15 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |