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モビィ・ドール

熊谷 達也

直木賞受賞のネイチャー作家、熊谷達也の新作。

巌倉島に住むイルカを研究する鯨類鳴音研究所に働く比嘉涼子が主人公。
ある日、イルカたちがマス・ストランディング(集団座礁)した。
原因は最近あらわれたシャチにあるらしいとわかる。
モビィ・ディックならぬモビィ・ドールと名づけられたシャチ。
まだ、その生態が解明されないシャチを相手にしながら自然と向き合う感じがいいですね。
大海原が目の前に広がるような雄大な自然を感じます。

シャチのことを詳しく知りたい人にとっては参考になる本です。
ただ、小説としてはいかにも調べましたという記述が多くて、そこはちょっと気になりました。
どちらかというと、直木賞受賞作のような控えめな情報と適度な幻想性のころあいが好きなもので。
インターセックス(半陰陽)という複線はあるもののストーリーがやや平坦かなぁ。
とくに人間関係のところ。
自然を事実に近いところで書くと割り切って、人間に関わる物語性についてはあまりこだわらなくてもいいかもしれないという気もします。

これからも自然をテーマにした熊谷さんの作品には注目していたいです。
ナショナル・ジオグラフィックのような美しい小説をたくさん書いてほしいな。
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2005.02.20 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |