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中上健次と読む「いのちとかたち」

高澤 秀次

最近、中上健次の影響を受けた作家が多く出てきているという話を聞いた。
そう言えば、娘の中上紀さんも「父中上健次と熊野」という作品を発表した。
先日読んだ村上春樹よりも、『十九歳の地図』から中上健次に惹かれ、学生時代に熊野の地までも訪ねたものとしてはなんだか旧友を懐かしむような気分でうれしくなる。

中上健次は、若くして逝く前に熊野大学を創設した。
そのときの最初のテキストとなったのが、この「いのちとかたち」という本だったそうだ。
どうやらそちらから読まないといけなかったみたい。
早速、借りてきたが、旧表現が多いので、結局後回しにしてこちらをガイドとして読むことにした。
この本は、日本の文化に関連して熊野信仰について講演したもの。
本書を読んでいると、生前の中上健次の息遣いが感じられるようでとても興味深い。
「いのちとかたち」を読み解きながら、中上健次自身の熊野信仰に寄せる思いの強さをあらためて知った。
まだまだ、彼の到達した境地に届かないものの、講演を読み進むうちに、理屈ではなく心を揺すぶり、そして深く静める何かを感じる。
山本健吉氏の「いのちとかたち」とともに日本の文化の起源を知るのに格好の1冊になりそうな気がする。
熊野が保護の対象として世界遺産にも登録されたことはとてもよろこばしいことだ。
自分にとっての心のふるさととも言える熊野に対する興味は尽きることを知らない。
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2004.10.04 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |