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野川

吉井由吉

著者は60歳半ばになる方。
過去、芥川賞をはじめとしていろいろな賞を受賞されている作家です。
戦時中のことや病気のこと、不況のこと、旧友のことなど昔を懐かしむ話が多く書かれています。
人生経験にふさわしい目線と深みのある文章は年齢の積み重ねを感じさせるものです。
こういう年齢を重ねられた人の文章を味わうのもなかなかよいものです。
世相に対する見方や生き方など先人に習うことは多いです。
机の上にある埴輪との語らいのあたりなどは、老練の成せる技と言えるのでは。
表現が稚拙になりますが、時空と思考を自在に操り駆け巡り、夢と覚醒を行き来する純文学という印象でした。
日常に追われ見失いがちなもうひとつの時間の流れを読んでいるような心地よさがあります。
一気に読むにはなんとも惜しい、味わい深く噛み堪えのある本でありました。
この方の作品を理解できるようになるにはまだまだ人生経験が足りませ。
いつの日にかすべてを感じとれるようになりたいものです。


それにしてもこの本は重い。
老いを描いた「背中から」を読みながら背筋を伸ばしている自分がちょっとおかしい(笑)

2004.07.31 | 本  | トラックバック(0) | コメント(0) |